第4話 アスレティックトレーナーという仕事〜後編〜


皆さんこんにちは!

ケガによる後悔を1人でも多く予防したい傷害予防士かつATの小野勇太です。

今回は、前回記事に対する、今の僕が思うことをつらつらと綴っていきたいと思います。

前回の記事はコチラ

現在ATを目指す学生さん、またはATとして活動している世の現役ATの方々、あるいはATの勉強はかつてしていたけれど、他の選択肢(他の医療系国家資格、フィジカル系、インストラクター系、マネジメント系、その他)に進まれている方、学生AT達、いろんな方にとっての『AT(アスレティックトレーナー)』像があると思います。

過去の記事として前職の仙台大学川平アスレティックトレーニングルーム(通称、川平ATR)勤務当時(2014〜2020)のブログ記事を前回は投稿させていただきました。ちなみに川平ATRで投稿していた僕のブログは現在は見れなくなっているので、原稿を持っている僕が改めて自分のブログ内で再投稿しているって感じです。それが前回の投稿ですね!

ブログは残っていませんが、過去に川平ATRという場所で『高校AT』として活動していた記録がちょっとだけ残っていたので、そちら紹介させていただきます。川平ATRホームページはコチラから🔽

僕は約6年半『高校AT』として活動してきた中で、後にプロ選手や日本代表レベルの選手、実際のプロ選手、プロには及ばずとも運動部活動にて一生懸命な選手、普段から運動に取り組んでいない高校生、一般成人、様々な対象者を見てきました。

前回の投稿内容を読み直して、当時から変わらない想いとして最も重要なATのお仕事内容、

それは

『教育活動』

だと考えています。

いろんな選手達を見ていく中で、どの選手達にも共通して言えるのは、必ずどこかのタイミングで大きな壁が待っているということです。スポーツでは怪我が代表例ですね。

どんな人達にも同様な体験(壁にぶち当たる)があるかと思うんです。

その時のぶち当たった衝撃によって①大怪我(肉体的にも精神的にも)するか、はたまた、そこから②壁をぶち破る・乗り越えるのか、前者の場合には、その後の選手生活だけでなく、その後の人生にまで大きな影響を与えることがある。

一方で、後者の人達の共通点はなんだろう?と考えると、そこはやはり『目的を明確に持っていること』であったり、現状の自分を受け入れるという『現状把握力』、そしてその自分を見つめる『客観的な視点』、純粋に自分の決めたことを『信じ抜く力』、そうしたモノが備わって、壁に対する抵抗力が養われているように思うんです。

その能力というのは先天性のものとは僕は思えなくって、後天的に養われる能力だと考えています。

ならばどうすればその能力が養われるのか?

それは、その人の取り巻く環境が非常に大きい。

環境には人、モノ、カネ、情報、施設などがあるかと思うのですが、

僕達の仕事『AT』というのは、そこの『人』として大きな影響力ある存在なんじゃないかって思うんです。

ATとして選手やクライアントと接する時というのは、体の不調、時には精神的な不調も含めて、相手の弱っている時の関わりが多いと思います。

その弱った体力や気力を、少しでも高め、より良い形でサポートしていく仕事、それがATなのかなと。

ATの専門技術の一つに『テーピング』がありますが、このテーピングの効果として

①特定の動きを任意に制限する

②圧迫を加える

③痛みを和らげる

④精神的な助けとなる

があります。

※公認アスレティックトレーナーテキスト⑥ 予防とコンディショニング参照

このテーピングというのは、テープを用いて行う物理的なものだけでなくて、僕達ATの役割そのものなのかもなって思うんですね。

相手の相談事に対して、的確に測定と評価を行い、過度な運動をさせぬように、リスク管理の観点から相手の運動を一定程度制限・圧迫をかける。そして徐々に段階的に制限・圧迫を解除していく感じ。

そしてATとして何より求められやすい能力として『痛みを和らげる』こと。

あの手この手でその目的を果たそうと、世のATは試行錯誤しながらも、相手のために最善を尽くす。

中でも重要な痛みを和らげる行為の一つとして、『選手の話を真剣に聴くこと』がある。

それによって、10あった痛みが7〜8に減る、時には2〜3に減るなんてこともなくはない。

ATの存在が、選手にとっての安心材料にもなっていたりする。

結果的にそれが、ATがいる、『〇〇さんがいる』という安心感になり、選手にとっての精神的な助けとなって、その後の活動を思い切り頑張れたりするもの。

人はコンピューターじゃないから、

心が安定するということは、とてつもなく重要な要素だと思うんです。

『精神的な支えとなる存在』それこそが『AT』の価値とも言える気がするんですね。

なので、ATといえば、『テーピングできる人』

それも、関節固定や筋肉サポートだけじゃない。

『心のテーピング』も業務の一つなんじゃないかな。

小野の個人的な見解です

そうしたテーピングをする人というマインドで、相手と接していくと、『何か起きてからの対処』よりも、『何か起きる前に』、予防としてのテーピングをしたくなってくる。

実際に、捻挫の多いスポーツ種目では、捻挫をしていないけれど、怪我しやすいので予防としてテーピングをするのが当たり前って世界もあるくらい。

ケガしてからじゃ遅いですからね。

目的が明確にある人達にとって、自分の目的達成を阻害する要因の一つ『ケガ』は、可能な限り予防したいと思うのが自然な話。

その予防するために必要な処置、対応、指導をする人、それこそ『AT』であり、

予防活動において最も重要なのが、『教育活動』だというわけです。

なぜならば、いかに予防が大切で、その予防を行うことが自分にとってマイナスの確率を減らし、むしろプラスになる確率を引き上げることに繋がるのか、これを頭だけでなく体で理解してもらう必要がある!

つまり、予防活動は自分にとって競技力・パフォーマンス向上に必要な要素であるという、価値観、考え方を教育しないことには、やはり『何か起きてから』気づくことになってしまう。

それでは遅いんです。

なので、普段からの教育活動が何より重要で、その教育活動を担う存在が『AT』なんじゃないかなって僕は思っています。

大元の活動が教育活動で、それでも起きてしまう傷害に対する応急処置や、復帰に向けたアスレティックリハビリテーション、再発予防のためのコンディショニング・トレーニング、そもそもの発生予防としたアスレティックトレーニング(予防トレーニング)があるんだと思うんです。

究極を言えば、ATが何かするのではなく、ATは大切なことを相手に伝えるのが役割であり、進化・成長していくのは相手の努力次第。

ただ、相手の努力をより良い方向へ導くことや、時としてぶち当たる壁を一緒に破っていったり、乗り越えていったりするサポーターの役割、そこはATの重要な要素かなって思いますね。

主体はあくまでも相手(選手)であり、サポート役だってのが、僕のATとして大切にしている価値観です。

僕達ATというのはどこまでいっても脇役であり、裏方のお仕事。

主役は自分じゃなくて、目の前の相手です。

主役を引き立てるのは、脇役達の存在が大きい。

自分の人生としては自分が主人公だけれども、

ATとしての活動は、あくまでも脇役。

だからと言って、自らを卑下する必要もない。

だって、なんだって主役やメインのみでは物足りないじゃないですか。

脇役の存在、主役を引き立てる存在がいるからこその、主役の輝きが増すってもんですよ。

立場としては主役ではないけれど、そうしたATがいるからこその主役達なんです。

裏方って脚光を浴びるポジションにはいないけれど、

実はものすご〜く重要で価値ある存在なんだよってことを、

せめてATである自分達自身が、誇りと自信を持って行けたらいいなって思っています。

色々な価値観はあるけれど、ATを名乗っていたら基本的にみんな仲間です。

そんな仲間に向けて、僕からの提案があります。

せめてAT達で集う場では、みんなが主役だよねって、互いを讃えあう、あるいはリスペクトしあえる世界観を持っていきませんか?

僕達ATという存在は、普段は我慢や忍耐とされるような、ある意味苦行を強いられることが多々あるかと思います(笑)

そんな我々です。

せめて同業者間での集う際には、それぞれの苦労を、ある程度は想像できますので、

互いに讃えあい、そして争うのではなく切磋琢磨する精神で、

ATの業界そのものの価値を、自分達で高めていきませんか?ということ。

先日、ツイッターで若者の学生ATが、ATの未来について嘆いている投稿を発見しました。

絶望しているように感じる投稿でした

僕はそれを見て、猛烈にショックを受けたんです。

若者で、かつATを目指している学生(未来の仲間)が、この先不安に思う業界なのだとしたら、今以上の発展は見込めないじゃないですか。

なんでも若者が未来を創る

僕達ATという存在は、スポーツ界には絶対に必要です!

なんなら、スポーツ界だけではありません。

生きていく上で最低限必要なのが、『健康な身体』です。

老若男女、スポーツの可否に関わらず、僕達ATというのは『予防』の観点から、社会にとっても有益な存在になっていておかしくないんです!

それが、まだ世に浸透していないだけ。

僕はそう捉えています。

ATに価値がないのではない。

ATの価値が届いていないだけだ。

ならば、その価値ある仕事を、もっと世にお伝えせねばならない。

自分達の価値は、自分達で高めていくもの。

価値のないものなんかじゃない。

絶対に価値はある。

しかもとてつもなく高い価値が。

それをまだみんな、『知らないだけ』なんだ。

だから早く知らせなきゃ。

なんて尊い仕事なんだろうってことを、学生達にも伝えなきゃ。

言葉にするだけじゃ信用できないのならば、

社会で証明することを早くに達成して、

誰もが知っている存在の仕事にする。

社会的認知を上げて、

社会的信用の高い仕事として、ATが国家資格化するぐらいのところまで行きたい!

僕はその想いから、手始めに『傷害予防士』(商標登録済)って言葉を作ってみました。

僕からすれば、傷害予防士とは、ATの役割を和名にしたってだけです。

『傷害予防士=AT』ぐらいに思っています。

いつか、AT、あるいは傷害予防士という言葉が『国家資格』として認められた存在になるのが僕の夢です。

ATって最高の仕事ですよ。

自分が主役にはなれなくても、たくさんの主役と出会うことができる。

たくさんの主役達を引き立てることができる。

たくさんの主役達の感動を共有できる。

やりがいがあるってだけじゃない。

人として、とても尊い仕事だと僕は思うんです。

自分がATだから余計に言ってるかもしれない(笑)

自分の選んだ仕事に誇りを持つというのは、自分の選択に対して、責任を持つということ。

過去の自分の選択を後悔したくないし、する気もありません。

自分の選択は、最高の選択だったと、これから証明していくのが、僕のこれからの人生の歩みですね。

ATという仕事は、まだまだこれからの仕事だと思います。

ATを世に普及していくこと!

頑張ります!

少しでも共感いただけたら、僕の活動だけでなく、世のATとして活動する人達みんなの事を応援・支援していただけると幸いです。

ちなみに、今クラウドファンディング挑戦中です!

こちらも宜しければ是非!ご支援よろしくお願い致します!!

最後に、ATはめちゃくちゃ面白いっす!!!

同業者の方、学生ATの方、ATを応援してくださる方、みんなで盛り上げていきましょう!!

今回も随分と長くなりました。

これが小野だ!

最後までお読みいただきありがとうございます。

引き続き、Onoブログお楽しみに!!

では、また✋🏻





ATルーム O's ほおぷ

JSPOAT試験対策 受験生サポート事業をしています 理論試験対策として、過去問(H26〜R5)の予想解答および解説集を作成しました。 AT取得に向けてサポートお任せください!

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